インド|アグラ|たった14年間の幻の都「ファテープル・シークリー」

 アグラの郊外、約40kmの位置にあるファテープル・シークリー。ムガル帝国最盛期の皇帝アクバルによって作られた「勝利の都」を意味する都市です。

占いを当てた聖者に感謝をこめて都になった

 世継ぎの男の子が生まれずにアクバルは悩んでいたそうです。そんな時、 聖者シェーク・サリーム・チシュティーに「子供が3人できる」と予言を受け、そして占い通り3人の男の子が生まれました。

喜んだアクバルは感謝の気持ちを込め、首都アグラから、聖者シェーク・サリーム・チシュティーのシークリーに遷都し、ファテープル・シークリーと命名したのでした。ただ、水不足や天災が続き、たった14年で次はパキスタンのラホールへ遷都してしまったんだそうです。その後戦火にも巻き込まれず、そのままの美しい姿を残しているのだとか。

アグラの街から1時間程移動

 アグラでタージ・マハルやアグラ城塞を見学した後、郊外に向けて移動。途中、インドらしい?田舎っぽい雰囲気がたくさん見え始めてきました。

ファテープル・シークリーに近づいてくると、何時の時代ともわからないような遺跡や城壁跡などがところどころに見えてきます。

駐車場からは乗り合いバスに乗って遺跡に移動

タージマハルなどと一緒で、遺跡までは自家用車やタクシーでは近づくことができません。駐車場からは専用のピストン輸送のバスに乗って移動です。

バスに乗って10分程で遺跡に到着。遺跡は人もそれほど多くなく、のんびりと野良犬たちが昼寝してました。

ヒンドゥー様式とチムールやペルシア様式が融合

 皇帝アクバルは、ヒンドゥー教徒とキリスト教徒とイスラム教徒の奥様がいたと言われるように、宗教の融和を行ったことで有名な皇帝です。このディワニ・カース(謁見の間)には、その宗教の融和を示した、それはそれは美しい玉座があります。

この建物中心にある見事な掘り飾りがある柱。この柱が実は玉座で、みんなが上を見上げなければ王様が見えないようになっているらしい。この柱の上に皇帝が座っていて、非常に風通しが良いため風の塔とも呼ばれていたそうな。この玉座の下の柱部分の彫刻が本当に凄い緻密で圧倒されます。

私は宗教の事は詳しくありませんが、この柱の模様が何段かに分かれていますが、この模様が非常に重要で、それぞれの模様が、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教等を表すそうで、玉座の下にたくさんの宗教模様を描くことで、宗教の融和を示していたそうです。

 ○○教を保護する王様とか、△△教を弾圧した王様とかはいろいろいますが、宗教の平和的な融和を目指した王様っていうのは珍しいですよね。非常に好感が持てる施策ですね。

木造建築のような緻密な彫刻。風の塔の材料に使われた赤砂岩も、柔らかくて加工がしやすいものだそうです。4本の柱に支えられた小さなドームがインド様式ですよね。

アクバル帝とその側近の執務室クワーブ・ガー

水が溜められたプールの真ん中には舞台。皇帝は自分の部屋からこの舞台の演劇を見ていたんだとか。

クワーブ・ガーも、柱が多い非常に独特な建築様式をしてますよね。

1階部分に、この小高くなっている部分があるのですが、ここが皇帝のベッドなんだそうです。通常、この部屋の1階部分には水が溜められていて、非常に涼しくなっていたんだそうです。

高くなっている理由は、敵から命を守るため、毒蛇の侵入を防ぐためだったそうです。

この都は水不足で困ったそうですが、さすがに王様の部屋の前は巨大なプール。

ここは妃の部屋。他の部屋とは、その彫刻のち密さが全く異なりました。

非常に精密な模様がたくさん描かれています。壁4方向とも模様が違っていて、よっぽど妃の事を大切にしていたんだろうなぁと分かります。

何となくですが、中国的な雰囲気も感じますよね。ムガル帝国はモンゴル帝国の影響もあるから、東洋らしい雰囲気もあるのかもしれません。

ここはジョダ・バイ宮殿という、アクバル帝とその奥さんたちが住んでいた宮殿。先ほどの執務室とこの宮殿を行き来しながらアクバル帝は働いていたそうです。

ヒンドゥー教の奥さん、イスラム教徒の奥さん、キリスト教徒の奥さんのそれぞれの部屋が別々にあるそうですよ。 屋根のデザインで、それぞれの宗教文化が分かるそうです。

ファテープル・シークリーのランドマーク「パンチ・マハール」

この柱と床と屋根だけの独特な作りの5重の塔。この独特の建築様式はペルシャ様式なんだそうです。日本の五重塔とはずいぶんと雰囲気が違います。

以前は上まで登ることができたそうなんですが、今は自殺が横行したために禁止になったんだとか。インドの方の悩みってなんなんだろうと思って、インド人ガイドさんに質問してみたら、インド人は占いを重要視するため、好きな人と結婚できないんだそうです。嘘か本当か走りませんが、ほぼ100%の確率で、占い師によって決められた相手と見合い結婚するんだとか・・・・。それで苦しんで自殺・・・。宗教の融和をうったえるアクバル帝の気持ちを汲んで、占いだけを信じることを辞められないのかなぁ・・・。

とは言え、とにもかくにも凄い雰囲気。柱は全部でなんと176本もあり、一番広い1階部分は84本の柱があるそうです。

このファテープル・シークリーは、ムガル帝国第三代皇帝アクバルの宗教融和の精神が随所に見ることができます。宗教による戦争やいがみ合いが無くなることを、ずいぶん昔から考えていたんですね。そのあたりがインドらしい。

1986年、ユネスコ世界遺産に認定されています。

戦火にさらされず、アクバル時代のままの姿を残した宮殿。ぜひ見に行ってみてください!